日本の寿司と海外のSUSHIの違い

ikyu.comより 日本の最高峰の寿司ーミシュラン3星店

日本の寿司と海外(日本以外の国)の寿司とでは、その内容は全く異なります。何故か? 職人の技術差だけではありません。海外でも日本で寿司職人としてキャリアを積んで活躍されている方もいますが、根本的な大きな違いがあります。それは、水の違いもありますが、最も違う点はネタの質と種類にあります。日本に近いところ、例えば、アジアやハワイ辺りだと朝一で日本で仕入れてそれを保冷空輸すれば当日到着すると言う事も出来ます、そして、質もある程度キープされます。それでもネタの種類等には限度があります。

日本だけが美味しい魚介類が獲れるのか?そんなわけないですよね。海外も美味しい魚介類が獲れる地域は沢山あります。質に関しては、魚介類の扱い方に大きな差があります。寿司だけではなく、日本で美味しい魚介類が食べられるのは取り扱い方が海外とは大きな差があります。

日本向けは、魚に依っては獲れたその場で締めて(活き締め、血抜きや神経締め等)その後、種類に依っては熟成させます。その他、エビ、カニは生きた状態を持続させたり、イカ、タコ、貝類なども可能な限り新鮮さを持続させる工夫がされています。遠洋に関しては瞬間冷凍の設備のある大型船。

この様に最高の鮮度や味を保つ為に様々な工夫が施されているわけです。そして、熟練の板前が市場に行ってその中から魚介類を厳選して店で提供しているわです。(魚に依っては店で更に熟成させる)スーパー等でも魚介類のバイヤーが鮮度等をチェックして仕入れを行っています。日本人はそれだけ日常的に魚の味に拘っていると言う事です。

それでは、日本以外の国ではどうでしょうか。南欧の海沿いの地域ではとても美味しい魚料理が味わえます。獲れたてをその場で調理しているところも見ることが出来ます。しかし、それ以外の地域では、日本の様にどこでも保冷配送があるわけではないので、魚は臭みが出ています。スーパー等は氷を敷いてその上に魚介類を並べて売っていますが、既に、魚体に血が回ってしまっているので臭みが出ています。その為、調理する時は、何種類ものハーブや香辛料を使って臭さを消す様にしています。欧州の都市に依っては、スーパーの中で刺身や寿司を売っています。それらは、専門の業者が提供していますので臭みは抑えれていますが、ネタ(魚)の種類が少ないです。

欧米の大都市では日本食ブームで寿司屋は沢山あります。他のローカルレストランと比べて価格が安い場合が多いです。ALL YOU CAN EATと言って、食べ放題もあります(夜でも30€以内で食べ放題)。店内はお洒落に飾ったところが多く地元の人達に人気なお店が多いです。日本の寿司屋と何が違うか? 大きく違う点は魚の種類です。

海外(日本の外)の握り寿司 魚の種類が極端に少ない。

サーモンとマグロしかないと言っても過言ではありません。エビ、イカ、鰻、貝、は日系の食材商社が真空パック入りの物を第三国で作って卸しています。サーモンは北欧産なのでとても美味しいです。

魚の種類が少ない事から様々な工夫が施されています。欧州では握り寿司よりも巻き寿司の方がポピュラーです。巻き寿司にして色々なソースを使う事で味のバリエーションを広げています。

https://www.iyo-experience.comより ソース等に工夫を施した海外の寿司 フュージョン寿司です。

日本の寿司とは全く別物ですが、これはこれで美味しいです。場所に依っては素晴らしく美味しいところもあります。上の写真は、ミラノのIYOと言うミシュラン星を連続で獲得しているレストランです。近頃は、海外の高級寿司店では、日本の様に”おまかせ”が流行っています。国や都市に依っても値段は様々ですが、飲み物別で300€(160円計算だと48,000円)以上はします。

つまり、魚の本来持つ本当の旨味を堪能するのは海外では無理があります。その理由は魚の取り扱いがダメだからです。その代わり、日本の寿司の既成概念に囚われない自由な発想で作られたフュージョン寿司がどんどん進化していったのだと思います。

日本に来た外国人は日本の寿司を見て、見た目はなんとシンプルなのかと驚かれるかもしれません。そして、食べて初めて魚本来の味と高い技術を持った職人が握った美味しい寿司を堪能出来るわけです。それは、日本の魚の取り扱い、そして、何十年も修行した熟練の技がそこに凝縮されているわけです。見た目だけではわかりません。これこそ、”和食”なのです。

海外で発展したフュージョン寿司も新しい進化を遂げて、実に洗練された空間で味わう事が出来るSUSHIです。