イタリアの病院

イタリアで入院と手術

昨年来、体調を崩し入院-手術をしました。本来なら2020年12月に手術する予定でしたが、コロナ禍の影響で先延ばしされ年が明けた2月28日の手術となりました。

前立腺肥大症が中等症レベルだったのですが、日常生活に支障を来たしていたのでドクターに相談して手術してもらいました。

日本でも前立腺肥大症を患っている方は非常に多く、厚生労働省の発表では480万人、50代以上の5人に一人との事です。

命にかかわる様な病気ではありませんが、排尿に支障を来たし常時悩まされる病気です。(人に依って感じ方、捉え方は異なると思います)

日本では、手術の方法も最先端の物から世界的にスタンダードな物迄あります。最先端設備のある日本の病院では、手術時の出血も少なく、術後の過程も良好で早い時期に完治する様です。

日本に帰って手術をするか?イタリアで手術をするか?大分迷いましたが、担当医のドクターが常日頃からメールにて細かいケアをしてくれ、アドバイスもあり、このドクターの手術経験数や彼が執刀医と言う事でイタリアのこの病院で手術をする事を決めました。

入院は1日半。手術は入院した当日の夕方行われ、次の日の昼に退院です。手術はTURPと言う手術で内視鏡を入れ前立腺を削ります。この手術は世界的にスタンダードな手術ですが、結構出血をします。手術は、背中に先ず麻酔を打ちます。これは痛みは少ないです。徐々に下半身が麻痺していき、全く動かなくなります。その間、約30分位だったと思います。手術を行う下半身が自身から見えない様にカーテンで体の半分を仕切られます。そして、手術が始まります。全行程で約2時間位だったと思います。手術中は麻酔が効いているので痛みは殆どありませんでした。カテーテルを入れた状態で手術終了となります。その後、点滴とカテーテルが付いたまま病室に運ばれました。その日は、その状態です。多分、途中で痛み止め等の点滴があったのだと思います。痛みは殆どありませんでした。

翌朝、”貴方は午後には退院してください”と告げられました。朝食は、ビスケットとジュースをもらいました。

問題は、カテーテルを付けたままどうやって着替えて、いつカテーテルを外してもらえるのか?(数日間との話でした)それと、どうやって家に帰るか?と言う事です。カテーテルが付いたままでは外には全く出られませんからね。(カテーテルを付けて普段の生活をされている方もいるそうです)外食どころか食料の買い出しも困難だと思いました。カテーテルを数日間付けたままにされると言うのは、手術前に聞いていたので、事前に食料等生活必需品は多めに買っておきました。しかし、実際にその場になってみると頭の中が混乱してしまいました。

丁度、昼食の時間になっていて、昼食を運んでいた看護士が”昼、食べていきなよ”と気さくなに言ってくれました。

イタリアの病院食 ニョッキのトマトソース、ハンバーグとポテト。一見不味そうですが、結構、美味しかったです。

昼食後、何とか下半身が完全に隠れる様に着替えて、電話でタクシーを呼びました。退院時にドクターから処方箋をもらっていたのですが、病院内の薬局は土曜日の午後だったので既に閉まっていました。仕方ないので、タクシーに薬局へ寄ってもらえる様に伝え、薬局で薬を買って何とか家に戻りました。

数日間で外してもらえる筈だったカテーテルは、ドクターの都合で10日間も先になってしまいました。10日間 カテーテルをつけっぱなしでの生活となりました。

当初は、排尿時は真っ赤でした。それも、あまり出ません。”これじゃ以前の方が遥かに良かった”と悲しくなりました。メールでドクターに現状を伝えました。ドクターは、”当初はそんな感じだけど日を追うごとに快方する”との事でした。実際に手術をしたわけなので後悔してもどうにもならないので、ポジティブに考える様にしました。(カテーテルをつけたままで寝るのには苦労しました)

5日経過、7日間経過、日を追うごとに排尿の赤が薄くなっていきましたが、排尿自体が少量で辟易しました。これ、結構、精神的にも辛かったです。ドクターは、一日、最低1.5リットルの水を飲むように言っていましたが、実行しても排尿が少量なので腹が張るばかりでした。

10日経過して病院でカテーテルを外してもらいました。これで漸く、おもいっきり排尿が出ると思いましたが、カテーテルを外しても排尿の量はかわりませんでした。この時はかなりショックでした。ドクターが言うのはちゃんと排尿するには、4か月は掛かるとの事でした。”そんなにかかるのかよ”って感じでしたね。

毎日、排尿の回数と量を記載しました。少しでも早く楽になれる事だけを考えていました。

一月経過して血尿はほぼ目視出来ないくらいになっていました。排尿の量も僅かですが増えていきました。

3か月が経過して、術前よりは排尿の量も多くなり、4か月目でほぼ、恐らく、通常の量が出ていて、不快感を余り感じないレベルになりました。

このブログを書いた最大の理由は、同じ様に海外でこの病気で悩んでいる方に少しでもTURPの手術と術後のの実態をお知らせしたかったからです。個人的な見解になりますが、出来れば日本の最先端医療で手術される事をお勧めします。同じTURPであっても日本だとカテーテルを外すまで入院させてもらえます。ただ、海外在住者は、日本での健康保険が適用されないのでかなり高額になってしまうでしょうね。因みに、イタリアの保険を適用してもらったので、一切お金は掛かりませんでした。

ま、必ずしも日本でやったからとて、100%上手くいくかわからないですね。大事なのは、施術経験豊富な病院であり執刀医に巡りあえることでしょうね。ただ、日本ならイタリアの様に術後は、本人任せで放置する様な事はないでしょう。

手術をやって良かったかどうか?に関しては良かったです。排尿の煩わしい問題に悩まされる事はなくなりました。生活の質が良くなりました。只、恐らくですが、カテーテルを長期間放置した後遺症の様なものはある様に感じています(2023年現在ではその感じも全くなくなりました。)。

イタリアと言う国で暮らすと色んな意味でタフにはなりますね。自分で何とかしないとならないのです。ま、これが人の生活の本来の姿なのかもしれません。

イタリアの病院 – 2

Firenze Santa Maria Nova病院 700年以上の歴史

イタリアの病院に3度入院した経験があります。

現在イタリアは、コロナウイルス感染拡大に依り多くの方が亡くなりました。死亡率はヨーロ圏内でも突出しています。

イタリアの医療システムが非効率的である点や医療従事者の極端な不足も大きな原因であると思います。

フィレンツェとミラノで何度か急患(タクシー)や救急車のお世話になった経験があります。フィレンツェの総合病院へ膀胱結石にて急患外来へ行ったのですが、5時間待たされました。4~5部屋の処置室があり、事故や病気で救急車にて運び込まれた重症患者が集中治療機器に繋がれて各部屋のベッドに横たわっていました。それを1人の医師が処置と管理をしていました。重症患者がベッドに横たわっているところで、立ちながらドクターと話(診察)をしました。容態を説明すると、やはり膀胱結石と判断した様で、”それは何も出来ません、薬局で痛み止めを買って服用してください。” 3分で終りました。総合病院なのでなんらかの処置や専門医の紹介等あると期待しましたが、緊急の重症患者をたった一人のこの医師が診ているわけです、その医師は額に汗をかいて立って話をしていました。つまり、直ぐにでも各部屋の重症患者の容体を診なければならないわけです。この状況を見てしまうと、なんともそれ以上は何も言えませんでした。

イタリアでは、自力(タクシー等)で急患に行くよりも救急車を呼んで搬送された方がいいです。その場合は、最優先で診てもらえます。救急車が来た際には、大袈裟でも苦しさや痛みを強く訴える様にしましょう。これは個人の経験からだけではなく、イタリアの大学病院医師からのアドバイスでもあります。因みに、外国人旅行者は無料です。それと留学生は保険加入されていますので適用されます。

イタリアでの入院(公立病院 健康保険適用)。一人部屋の集中治療室、4人部屋の集中治療室、6人部屋の病室と経験があります。フィレンツェで手術後の処置が悪かった為に肺血栓になりました。2週間程の入院生活を送りました。

イタリアの入院では食事はイタリアンです。当たり前ですよね、でも、最初は驚きました。”えっ、イタリアンなんだ”。

肉料理でも2種類から選べました。付け合わせも選べます。例えば、牛ステーキとポテトのロースト。それにパンとデザートが付きます。病院にも依ると思いますが、毎回どれも結構美味しかったです。肉は、硬めで味も薄めですが、なにしろ空腹なので美味しく感じました。なにより食事が一番楽しみでした。今でこそ日本でも入院での携帯電話使用が許可されていますが、イタリアでは(2000年頃)既に入院患者は全て携帯電話を持参していました。病院食が苦手な人は家族に連絡して外から食事を持ち込み食べていました。”それってありか?”そう言う意味ではかなり自由度は高いイメージでした。18時以降は家族以外の面会は禁止になっていました。時間になると病棟の廊下を遮断していました。病室にはテレビはありませんでした。団らん室の様な広い部屋があり、そこにテレビがありました。そこで面会者と話をしたりテレビを見たりします。ドリンク類の自販機、売店やバールはありました。日本のコンビニの様に何でも揃っているわけではありません。パジャマは病院から支給されます。(有料ですが、保険適用で無料)

イタリアの病院ではボランティアの人がいる場合もあります。その様な人達が外国人へ(英語や多国語対応)入院中にお世話をしてくれる事があります。日本人で活躍されている方もいます。言葉の問題等もあったので非常に助かりました。

イタリアの病院に入院して感じた事は、医師や看護師の数が絶対的に不足していると感じました。どの医師も看護師も非常に熱心でしたが、絶対数が足りないので事故が発生する確率が高まります。又、忙し過ぎて軽症患者をしっかり診断出来ません。後に重症化するケースも多いかと思います。それが、現在のコロナウイルス感染拡大に依り一層酷い事になり多くの死者が出ている原因だとも思います。病院は先端医療器具等を入れて多額の借金もあり、その中で医療現場への予算が削減されているので何とか利益を上げる為にも高額なプライベート医療を導入しているのだと思います。益々、一般市民(長期滞在者を含め)にとっては保険適用医療を受けられる範囲が狭まり非常に不安な生活を強いられていると思います。

イタリアの病院

Firenze – Santa Maria Nova 病院 700年以上の伝統。一見するとMUSEMと間違える程の建物。実際、一部が博物館になっている。かのレオナルドダビンチが解剖を行った部屋がある。この病院に2度入院した経験があります。

今回は、イタリアの病院に関しての話です。

イタリアの医療システムは、保険制度を適用するホームドクター制とプライベートがあります。ホームドクター制は、住民登録をした地域でホームドクターを選ぶと言うか保険事務所の方から”貴方のホームドクターは誰々です”と言う具合に通知されます。評判の良いドクターに偏らない様になっています。何度か通院してどうしても気に入らない場合は、ホームドクターの変更を申請する事が出来ます。

ホームドクターは必ずしも自分が期待する専門医とは限りません。それどころか、全く異なる分野である場合が多いです。簡単な検診と専門医や総合病院へ行く為のリチェッタ<チケットみたいなもの>、検査予約や処方箋を出してくれます。

ホームドクターは無料です。ホームドクターの予約は場所にも依るのでしょうが、イタリア的です。何がイタリア的かと言うと、電話が通じない場合が多いです。(現在は、非常事態宣言中なのでホームドクターとは電話のみでの診察となっています。従って、殆ど、電話は通じません。)ホームドクターは一日2~3時間しか開いていません。一度、処方箋が必要だったので電話をしましたが、何度電話をしても通話中でした。3日目位に、5分おきに10回位も電話を入れてやっと通じた経験があります。(現在は、オンラインでも処方箋は取れます)昔、有名人のコンサートチケットを予約する時に繰り返し電話をしたのを思い出しました。多くの人が一斉に同じ時間帯に電話をするわけですからね、一瞬を争います。ホームドクターでこんな事をしないとならないと言うのは呆れますがね。

一つの例を挙げると、ビルのワンフロアに4つのホームドクターが入っていて、その受付が女性1人なんてところもありました。何度も電話をしてもいっこうに電話が通じない、仕方ないので行って見ると、大勢の来院患者でフロア内は大混雑そして受付の電話が鳴りっぱなし。受付の女性は1人なので、来院患者の順番整理で手一杯なのです。電話の応答はとてもこれでは出来ませんね。国営なので予算がないのだと思います。

イタリアの病院はどんな感じなのか?公立病院と私立病院があります。健康保険利用にて公立病院の受信をするのであればホームドクターからリチェッタ<チケット>を受け取ります、そして、予約センターから予約を入れてもらいます。(予約センターは、電話は通じないので、保険事務所行って予約を入れた方が無難ですが、それもやはり物凄く混雑していて半日の作業になります。)公立病院の予約は3か月先とか当たり前の様にあります。予約を入れて見ると”えっ、これって日時間違えてない?”それほど先になってしまいます。つまり、保険適用の公立病院受診を正攻法でやっていたら相当な労力とかなりの日数が掛かります。

公立病院での受診に関しては日本とそれ程違いはありません。違いはお金は先払いになります。機械から順番票を取って、先ず、お金を支払い、順番が来たら、支払い領収書と順番表を提示して受診します。公立病院内でも保険適用とプライベートがあります。

私立病院はどうなのか?保険が適用されないので診療代は安くはありません。私立病院に依って値段は異なりますし、担当医に依っても値段が違います。有名な医者は診療代は高いです。

プライベート外来(公立病院内)の経験から言うと、初診料は、110EURO(価格は更に上がっています)。この病院は、保険適用外来も受け付けますし、救急病棟もあります。保険適用外来受付とは別にプライベート外来の受付があります。

プライベート外来と一般外来(保険適用)は別のフロアにあります。一般外来は、非常に混雑しています。それに比べてプライベート外来は、ガラガラです。椅子も一般外来のプラスチックな簡素な椅子に比べて、プライベート外来はソファー並みの椅子が並んでいます。順番札を取っても直ぐに呼ばれます。そこでお金を払って診察の順番札を受け取ります。順番札を持って自分が受ける科に行きます。診療室が幾つかあります。プライベートは、直ぐに順番が来ます。診察や超音波検査等をやってくれます。薬の処方もしてくれますが、プライベートの場合は、処方箋は出しません。自費で薬を買うか、又は、プライベートドクターからレターを書いてもらい、それをホームドクターへ連絡して処方箋を書いてもらうと言う厄介な事になります。(経験からです。病院に依って異なるかもしれません。)医師から伝えられた薬は処方箋が無くても購入出来るものでした。2種類で各30日分(1日一錠)値段は、€12。(イタリアでの自費での薬代は、日本での保険適用の薬代よりも遥かに安いです。日本の薬価がおかしい?)

この後、30日間で10回以上のメールのやりとりをプライベートドクターとしました。この間、体調が良くならなかったので薬の変更のアドバイスを受けてたり、問診等も全てメールでやりとりをしました。それらは全て無料です。(この様なサービス内容だと110€と言う値段は破格だと思いました。)引き続きお薬の治療で様子を見る方向となりました。そして、3か月が過ぎて以前よりも少し改善しました。(毎月薬代は12€)この時点で再度の診察と超音波検査を行いました。再度の診察の費用は前回同様の110€です。内視鏡を使用した手術を予定してくれました。しかし、非常事態宣言が再び厳格になり緊急性ではない手術と言う事で延期となっています。現時点では、薬治療を継続しています。手術の費用は高額になります。ドクターに保険適用になる様に頼みました。その場合、このドクターからレターを書いてもらい、それをホームドクターへ渡します。ホームドクターが手術のリチェッタ(チケット)を作成してくれます。これで手術は無料になります。プライベート診療なので通常だと手術も市価でやりたいところだと思います。しかし、何度か頼み込んで手術は保険適用と言う承諾を得る事が出来ました。(手術は延期ですが)

これを公的病院で行っていたら、深刻な事態になっていたかもしれません。検査だけでも数か月間待たされます。手術となると一体いつになる事やら?病状に依っては軽病が重症になってしまいますね。

イタリアでの生活はまさにサバイバル。言われたとおりにやっていたら、とんでもない時間の浪費と出費となります。自分で考え工夫して動かないとなりません。

次回は、急患と公立病院での入院経験を書きます。イタリアでの入院時の食事は?